にんじん栽培の農薬管理ポイント|病害虫と根菜ならではの注意事項
にんじん栽培と農薬管理の特徴
にんじんは根(可食部)が地下に発育する根菜類です。地上部の葉に農薬を散布しても、食べる部分は土の中の根であるため比較的残留リスクは低いとも言えますが、土壌に施用する農薬については根への吸収に十分注意する必要があります。
また、にんじんは使用できる農薬の種類が他の作物と比較して少ない場合があるため、農薬ラベルで「にんじん」への登録を必ず確認してから使用してください。
主要な病害と対策
軟腐病
細菌(Pectobacterium属)による病害で、収穫期前後の多雨・過湿条件で発生します。根が水浸状に腐敗し、悪臭を発します。農薬による治療は難しいため、排水管理の徹底と傷をつけない作業が予防の基本です。アブラムシやネキリムシによる傷口から感染することもあるため、これら害虫の防除も間接的な予防になります。
黒葉枯病・葉枯病
葉に褐色〜黒色の病斑が生じる糸状菌病害です。雨の多い時期に発生が増加します。ダコニール1000フロアブルなどで予防防除します。発病が進むと葉全体が枯れ上がり、根の肥大に影響することがあります。
萎凋病
フザリウム菌による土壌病害で、株が突然萎凋します。連作で発生しやすいため、輪作や土壌消毒が基本的な対策となります。
主要な害虫と対策
キアゲハ幼虫(アゲハチョウ類)
キアゲハの幼虫がにんじんの葉を食害します。緑色に黒と黄色の模様がある派手な幼虫で、発生が少ない場合は手で取り除くことも有効です。発生量が多い場合は、スピノエース顆粒水和剤、プレバソンフロアブルなどで防除します。
アブラムシ類
新葉や茎先に群生して吸汁します。ウイルス病の媒介にもなるため早期防除が重要です。モスピラン顆粒水溶剤、ダントツ溶液などが使用されますが、にんじんへの登録がある薬剤を必ずラベルで確認してください。
ネキリムシ類(ヤガの幼虫)
土中に生息する夜盗虫の仲間で、夜間に地際部の茎を食害して株を切り倒します。被害は定植〜幼苗期に集中します。播種・定植前の土壌処理(ダイアジノン粒剤等)が予防的に有効です。
ニンジンシストセンチュウ
根に寄生して成長障害を引き起こす線虫で、連作圃場での発生が問題となります。農薬(線虫防除剤)による土壌処理と輪作の組み合わせで対策します。
収穫前日数(PHI)の厳守
にんじんは食べる部分(根)が地下にあるため、葉面散布した農薬が直接根に付くわけではありませんが、農薬ラベルに記載されている収穫前日数(PHI)は必ず守る必要があります。特に土壌処理剤は根への移行が起きる可能性があるため、使用時期と用量に細心の注意が必要です。
農薬の使用記録を農薬混用チェッカーの散布記録機能で管理しておくと、収穫前日数の計算や記録の整理が容易になります。
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