たまねぎ栽培の農薬管理ポイント|べと病・腐敗病・ネギアザミウマの防除
たまねぎ栽培と農薬管理の特徴
たまねぎは秋に定植・翌春〜初夏に収穫という長期栽培が基本で、越冬中から収穫まで継続的な病害虫管理が必要です。特に春先の低温多湿時期にべと病が急激に広がりやすく、一度まん延すると収量・品質への打撃が大きいため、予防的防除が非常に重要な作物です。
また、鱗茎(食べる部分)は土中で肥大するため、葉への農薬散布は比較的残留リスクが低い一方、収穫後の腐敗防止・貯蔵性向上の観点から収穫前の農薬管理も重要です。
主要な病害と対策
べと病(最重要病害)
たまねぎで最も被害が大きい病害です。葉に淡黄色〜灰緑色の病斑が現れ、湿度が高いと葉表面に灰紫色のカビが生えます。春先の3〜5月、曇雨天が続く多湿条件で急速に拡大します。発病前からの予防散布が基本で、ランマンフロアブル、ホライズンDF、ダコニール1000などが使用されます。耐性菌対策として作用機序の異なる薬剤のローテーション使用が推奨されます。
軟腐病・腐敗病
細菌(Pectobacterium属)によって引き起こされる病害で、鱗茎や葉鞘が水浸状に腐敗し悪臭を発します。高温多湿・排水不良・傷口からの感染で発生します。農薬による治療効果は限定的なため、排水管理の徹底と、アザミウマ等による傷口をつくらないことが最大の予防策です。農薬としてはバリダシン液剤、カスミンボルドーなどが用いられます。
灰色かび病
低温多湿条件で発生する病害で、葉や鱗茎に灰色のカビが生えます。収穫前後の貯蔵中にも進展するため、収穫前の防除が重要です。ロブラール水和剤、ゲッター水和剤などで防除し、耐性菌対策のためローテーション使用をします。
黒斑病
葉に黒褐色の楕円形病斑が生じる糸状菌病害で、成熟期以降に発生しやすくなります。雨が多い年や密植で発生が増加します。ダコニール1000フロアブル、オーソサイド水和剤などが有効です。
主要な害虫と対策
ネギアザミウマ
たまねぎ・ねぎ類で最も問題になる害虫です。葉の表面を吸汁して白い筋状の傷をつけ、重度の被害では葉が枯れ上がります。また、軟腐病の感染口になるため二次被害も大きいです。スピノエース顆粒水和剤、モスピラン顆粒水溶剤、チェス顆粒水和剤などが使用されます。薬剤耐性がつきやすいため、ローテーション散布が必須です。
アブラムシ類(ネギアブラムシ等)
葉に群生して吸汁し、生育を阻害します。ウイルス病(モザイク病)を媒介することもあるため、早期発見・早期防除が重要です。コルト顆粒水和剤、モスピラン顆粒水溶剤などで防除します。
ネキリムシ類
幼苗期に地際部を食害して株を倒伏させます。被害が出やすい時期は定植後30日以内です。ダイアジノン粒剤などを定植時に土壌処理します。
農薬使用上の注意点
たまねぎは同一薬剤の連用で病害虫に耐性がつきやすい作物です。特にべと病菌・ネギアザミウマは耐性が問題になりやすいため、作用機序の異なる農薬を意識的にローテーション使用してください。
農薬混用チェッカーの散布記録機能を活用して、今シーズンの使用農薬を記録しておくと、翌シーズンのローテーション計画に役立ちます。
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